キャリア教育という言葉が公文書で初めて使用されたのは、1999年の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」です。
 この答申の中で「学校と社会及び学校間の円滑な接続を図るためのキャリア教育(望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身につけさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育)を小学校段階から発達段階に応じて実施する必要がある」と述べられています。

 さらに2006年11月の文科省内協力者会議作成による「小学校・中学校・高等学校キャリア教育推進の手引」において、キャリア教育において身につけさせる力として以下の内容構造案を示しています。

(1)人間関係形成能力(自他の理解能力とコミュニケーション能力)
(2)情報活用能力(情報収集・探索能力と職業理解能力)
(3)将来設計能力(役割把握・認識能力と計画実行能力)
(4)意志決定能力(選択能力と課題解決能力)

 以上の内容は具体的に、
(1)他者の個性を尊重し、自己の個性を発揮しながら、様々な人々とコミュニケーションを図り、協力・共同して物事に取り組む力を育成すること。
(2)学ぶこと・働くことの意義や役割およびその多様性を理解し、幅広く情報を活用して、自己の進路や生き方の選択に生かす力を育成すること。
(3)夢や希望を持って将来の生き方や生活を考え、社会の現実を踏まえながら、前向きに自己の将来を設計する力を育成すること。
(4)自らの意志と責任でよりよい選択・決定を行うとともに、その過程での課題や葛藤に積極的に取り組む力を育成すること。
と具体例を挙げています。

 難しい表現ですが、自分で考えて、自分で表現する。しかしそれは仲間や社会と一緒であり、協調することです。これは、学校生活だけでなく、家庭生活の中でも出来ることです。
 例えば「それは具体的にどんなこと?」と聞いてみること。「自分ではどう言ってみたいの?」「他にはある?」というように親や他者が「尋ねる」ことを積極的にすることが「自立的な考え」の芽になります。

 キャリア教育とは特別の教育ではなく、将来への基盤を意識して行動を促進することではないでしょうか?