就職活動中の学生の方へ 一覧

 就職活動の情報ソースは、どこから見つけているのでしょうか?
 ほとんどの人が自分の関わってきた生活や知人、そして社会情報から「企業」「働き方」「職種」を知ります。当然ですが、知らないと情報は広がりません。これは就職活動だけでなく、キャリアの選択にも関係してきます。

 今回は改めて社会への関心を考えてみましょう。

 皆さんは1日に、どれくらいのニュースを自分の中に取り入れる時間を持っていますか?
 インターネットの普及で、世界中の情報がリアルタイムで手に入るようになった今、すぐに情報が手に入るという気軽さで、手間を掛けて、情報を手に入れることを省略し、入手情報が狭くもなっているようです。そして、活字離れとともに、新聞やテレビのニュースを見る人もどんどん減っています。

 社会の変化に敏感に、そして、広く、政治経済から文化的なことまで世の中全体の動きを知るためには、やはり、今のところ、新聞や書籍の利用を薦めます。

 新聞を薦めると、読むだけでいいのでしょうか?どこを読めばいいのでしょうか?と聞かれます。
 私は、新聞に関しては、週に一度でいいので習慣的に読むこと。また、飛ばし読みでもいいので、全部に目を通すこと。拾う文字は「新=新しい」というキーワード、これだけはちょっと丁寧に読むようにと学生には指導しています。

 「新規事業」「新規参入」「新製品」「新店舗」というように「新しい」ことから可能性や好奇心を広げたいと思っているからです。また、社会変化の速さから、「新しいこと」があっという間に広がっていく時代です。出来るだけ情報の鮮度にも関心を持っていてほしいと思います。

 また、情報を鵜呑みにせずに、情報を収集すると同時にその情報を広げること、確認することにも注意を払ってください。

 キャリアを形成することは、社会変化に対応することでもあります。自分の知らないこと、興味がなかったことが、これからのキャリアのチャンスが眠っているところだと思うと、情報を集めることは「宝探し」のようなものではないでしょうか?

 18世紀のニューヨークに生きた人が一生かけて知り得た情報量を現代社会で生きている人はなんと1週間で得るそうです。情報に埋もれずに、上手に情報と付き合うことが現代の私たちの生きる知恵であり、可能性だと思います。

 「埼玉の暑い夏を熱く!」とはいえ、正直仕事探しには、厳しい季節ですね。
 だからこそ、動くことが大事かもしれません。人が面倒なこと。人が分かっていてもやりたくないことをやる。言葉では簡単だけど、実際やるとなると動きが鈍くなること。
このひとつが仕事探しかもしれません。

 ここで、この暑い夏に仕事をする土台となる「意識」を考えてみてください。

 社会は、急速に変化しています。科学技術の進歩で、昨日不可能ことだったことが今日はできるようになり、それにより、社会のしくみが大きく変わることもまれではありません。
 いつ、自分の会社が吸収されたり、合併されるともかぎりません。それによって、海外資本の会社になることもありえます。また、倒産やリストラも、他人事ではありません。
 いつ、自分たちの会社に火の粉がかかるかもわからない、不安定な世の中なのです。
 変化にいつでも対応できて、変化をチャンスととらえることのできる人、それが今の世の中に求められる人です。

 会社の競争力の源泉=人材
        ↓
 会社にとって必要な人=自律・自立した志向と思考と行動ができる人

 言われたことだけをこなせる人は、社会にはいらないのです。言われたことに、さらに自分なりの工夫を重ねる人が、今の世の中には求められています。

 常に、向上心を忘れずに、キャリア形成をしていきましょう。
 会社は生き物です。その会社の社員の行動意識しだいです。つまり、会社を成り立たせているのは、その会社の社員です。会社にとって利益を生み出す大元は、自分たちのところの社員なのです。

 ですから、社員を大事にしない会社はダメになるし、社員は、その会社の姿勢や期待にこたえていかなくてはならないのです。

 会社にとっての財産は人材

 価値を生み出せる人とは、
・周囲を巻き込み、自ら価値を生み出す人
・変化に対応する人
・自ら必要な能力を見極め、高める人
・変化をチャンスとして取り込める人
・自らキャリア形成をしていける人
        ↓
 言われたことプラスワンの「思考」と「志向」と「行動化」
        ↓
 価値を生み出す=会社にとって必要な人

 価値を生み出せない人とは、
・挑戦心のない人
・意見を伝えない人
・発想しない人
・意欲が伝わらない人
      ↓
 変化に弱い
      ↓
 能力が陳腐化する=会社にとって不要な人

ということです。では、端的に言って就職活動で伝えなければならないことは、「挑戦心」「自分なりの意見」が大事になるということですね。

 これは、老若男女を問わず、仕事探しの基盤です。

 

 今回は、身近な人と自分の距離感、そしてキャリアについてお話をします。

 「大学のゼミの友人は、内定を複数持っている。自分は焦って空回りをする。」という相談が全国から寄せられる時期になりました。
 友人の内定複数?でも行ける会社はひとつです。正直羨ましいですよね。近くの友人はある意味、自分の求めているものを映す鏡ですし。別の視点では、自分の「やる気のスイッチ」になってくれますから。
 「同じ状況で学んでいるのに、何故?」って思ってしまいますね。 
 くやしいほど上手く行っている人っているものです。特に、自分にはない「力」を発揮する人。そういう人を身近に感じることが大事です。ねたむのではなく、その能力とスキルに嫉妬する関係。これは、自分のキャリアに対するモチベーションを高めてくれます。なんとかその人を追い越したい、と思いますからね。

 誰でも自分が一番になりたい、と思っているものです。私も40歳になった頃、自分のキャリアデザインをしてみようと一念発起。そのとき座右の銘として自分で作った言葉が、「一番になれなくても、一番最初になる」でした。
 私は繊細でないくせに、気が小さい。人と競争するのは、正直苦手です。それに一番になるのは並大抵のことではなさそうだし、なれなければなれないで、またくやしいはず。
 だったら、トップにならなくても、なんでも一番最初にやってみよう、と思いました。
 だから私にとってのライバルは「あ、そのアイディア、私も思いついたのに、先に実現しましたね」という人。いつだったか、女性の人生をシミュレーションするゲームを作りたいと思いついたら、既にアメリカに同じゲームがある、と教えられてがっくりしたことがあります。でも、そういうことがあるたびに、次は私が一番最初になろう、とまたファイトが湧くものです。
 
 同じ土俵で勝負をしなければ、ねたむことにはなりにくい。自分にはない相手の力に素直に感心しながら、今度は自分の持っている力で一歩先に行きたい、と心に火をつけるきっかけになりますからね。そんな純粋にプラスの力を与えてくれる身近な人を持つことは、自分のキャリアの力になります。
 また、仕事関連ばかり見てはいけません。自分の能力を広げるためには、色々な面で活躍している人の情報から自分自身の「マイライバル」を作ることです。趣味の領域や、実際には面識の無い人でもいいのです。
 もう一面はライバルには必ず「尊敬」するところを見つけることです。そうしないと単に競うだけで成長が陳腐な事になりがちです。
 自分の良さというのは、自分では分からないものです。友人の良さを伝えてみてください。必ず、友人は貴方の良さを教えてくれますよ。

 

 仕事を探している方々へは、是非「仕事探しを仕事の日常」と意識して行動してほしいと常々話をしています。

 企業の求人情報の書かれていないところには、色々な要件があります。
 その一つに「この人!と決めたら早く仕事をして欲しい」という要件も隠されています。

 面接で「何時から来る事が出来ますか?」という質問の意図には、
①働きたくってウズウズするような意欲がみたい
②働く準備の出来ている生活をしているので、自信を持った返答が来る
③面接までの時間に自分の意思決定が出来ている。
というような確認をしたいと思っています。
 
 ということは、面接に来て働く意思はあるのだけれど、働く意欲が求職期間中に低下している。←ここは、実は自分では気がつかない場合が多く、面接官はここをよく観察しているのです。
 
 また、毎日がある意味の日曜日になっていて、生活リズムが働くモードになっていないために、言動に表れてしまうことも多々あります。

 そして、最後にせっかく面接まで来ているのに、その会社のことを履歴書を出した後からそれ以上に調べていないで「面接の合否が来たら考えよう」と安易に考えて面接に来てしまう事などがあります。

 まず、自分の生活を、仕事を想定して変えていきましょう。
 起床時間から変えます。そして出来るだけ日中も人と情報の集まる場所へ出かけましょう。図書館・ハローワークに行ってください。家の外には様々なきっかけがあります。
「明日から来られます」と返事したものの朝起きる事が辛くなり、冴えない表情で初出勤とならない為にも生活スタイルを変える準備から求職活動が始まっています。

 また、情報から意欲を湧かせることも大事です。社会変化の情報で「これから」に思いを馳せてみてください。

 様々な企業の方から「魅力的な学生像」というものを伺います。
色々の表現の仕方はありますが、業界や職種が違っていてもどうやら基本のところでは同じように思います。

 それは、「前向き」「一生懸命」「素直」ということではないでしょうか。
 実は、この当たり前のことを置き去りにして「就職活動のノウハウ」に走る学生が就活迷路に入っていきます。

 就活迷路の中で「これから伸びる企業は?」「安定している」「福利厚生がきちんとしている」というある種の条件や表面的なブランドを追っかけてしまうのです。
これを追いかけると企業側としては、あなたがこの会社で貢献してくれることは?と学生と会社の話が微妙に噛み合わなくなるのです。

 学生が就職活動を始める時には、まず社会・企業に対して素直に好奇心を持ち、前向きな姿勢で、目先のこと、損得よりもまずは、やらなければならないことをやるという一生懸命な姿勢を持つことからスタートしてもらいたいのです。

 そのために親が出来ることは、子どもの成長過程でがんばったこと、一生懸命に取り組んだこと、前向きになったことを思い出して、問わず語りに「あの時の頑張りは凄かったね」「言われずにも自分からコツコツやったね」などと我が子の気持ちを前向きにする支援です。

 就職活動はどうしても気持ちが後ろ向きになりがちだからこそ、親が素直に前向きになることが一番の応援です。
 また、就職活動が饒舌な会話や表面的な明るさ等で決まる訳ではないことも伝えてあげてください。もっと見えない「意欲」を探るのが企業人事です。

 書店を覗くと、ビジネス書で「成功」ノウハウが並んでいます。
キャリアコンサルタントの視点から、成功する人を考えると少し見えてくるものがあります。
 人生の満足度は、人によって違うと思いますが、何かを起した人や社会的に成功したと他者から評価されている人には、幾つかの共通項があると私は感じます。

①誰にでもフェアであること
②好奇心が強く興味の幅が広いこと
③ポジティブである
④利害・損得を判断基準の中心にしていないこと
⑤約束を守ること。

 この5つは私が今までお会いした素敵で凄い人に共通していたマインドと行動に対する姿勢でした。
 当たり前に誰にでも出来る事のようですが、それがそうでもないことも十分にお分かりだと思います。

 どうすればいいのか?この5つの項目を常に意識して生活することです。
意識が行動に繋がり、それが無意識までになると「習慣」「人柄」となるものです。

 例えば、②の好奇心を強くして、興味の幅を広くする。ということをどういう風に意識して行動に変えるのか。

 私は時間が空いたらすぐに書店に飛び込みます。書店では「平積み」と呼ばれて「売れそうな本」と「売りたい本」が一番良い場所に陳列されています。
まずは、それを全部眺めます。そうすると本を購入する世代・性別別に何を社会が求めているかと何を発信しているかが見えてきます。
自分の興味・関心の領域の書棚に直行しては、もったいないです。
 自分には興味・関心がないが、世の中では求められている分野があるのですから、
その分野のことも「知識・情報」レベルでは視界に入れておきましょう。
 すると商談の時に相手が何気に出した話題が、自分にはまだ「情報」レベルでも「最近よく書店で見かけますね」という一言が出るようになります。
 人間は「類似性・共通性」を見出すと一気に「親和性」が増します。

 ですからビジネスマンに重要な事は「情報の食わず嫌い」をせずに常に意識して色々なアンテナを張り、行動するということです。

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彩の国はたらく情報館
  キャリアレッスンについて


東洋大学 准教授であり、カリスマキャリアカウンセラーである小島貴子(こじま たかこ)先生による、就職活動中の学生の方、子どもを持つ保護者の方、転職を検討中の社会人の方へのメッセージを掲載しています。