spiral1.jpg       日本スパイラル株式会社
       代表取締役 冨澤 博樹
 
|日本スパイラル株式会社について 
  日本スパイラル株式会社は、豊富な知識、経験と確かな技術により信頼性の高い製品を提供し続けている、スクリューコンベアーメーカーです。
 「スクリューコンベアー」と聞いてもあまりピンと来ないかも知れません。ほとんどのスクリューは機械の内側で活躍するため、目に触れるチャンスはなかなかありません。しかし、粉体や粒体の移動がある場合、そこには高い確率でスクリューコンベアーが存在します。小麦や大豆のような食料品、セメント、化学薬品、下水処理場の汚泥等、搬送に使われる用途は多岐に渡ります。
 創業以来、スクリュー一筋に40年以上。お客様の満足が得られる製品をご提供できるよう、全てオーダーメイドでお受けし、社員一丸となって日々スクリューの研究、品質向上に取り組んでいます。

|ものづくりの原点-春日部高等技術専門校での日々- 
 大学を卒業後、行政書士事務所の勤務などを経て、ものづくりの世界へ飛び込んだのは7年程前。結婚を機に、妻の父親が創業した当社に入社する事を決めたのがきっかけです。まずは、ものづくりの基礎を1から学ぼうと埼玉県立春日部高等技術専門校 (以下、春日部校)の金属加工科へ入校しました。高校を卒業したての若者たちと机を並べて勉強し、作業服に着替えての実習。28歳の身にはとても新鮮で、彼らと共に学んだ日々は、まるで学生時代に戻ったような、そんな楽しい日々でした。いわゆる「学校の卒業式」で涙を流したのなんて、人生で初めてだったと思います。
 1年間の訓練の後、春日部校での経験が仕事の随所に活きていることを実感しながら、先代社長と二人三脚で当社の営業に奔走しています。当社の製品は、どのようなサイズにもお応えし、全てオーダーメイドでお作りしていますが、ものづくりをする感覚を春日部校で身につけることができたおかげで、取引先からのオーダーに対して、納期や金額の提示がスムーズに行えています。また、的外れな質問をして経験豊富なベテラン職人から呆れられるような事も「あまり」ありません(笑)。

|経営者となって
 入社から7年の月日が経った今年8月、先代からバトンを引き継ぐ形で代表取締役に就任しました。経営者の立場となり、改めて感じた事があります。
 それは、社員の方達がいるからこそ、自分は生かしてもらえるのだという事です。
中でも、納期を間に合わせるために夜遅くまで残業している姿を見ると、その思いはより一層強くなります。
 経営者のこんな気持ちは、前の職場で一人の社員として働いていた頃には想像すらしなかった事です。おそらくその時の社長さんも、そして日本の多くの社長さん達も、同じような思いを抱いているのではないでしょうか。

 当社では、月に一度「教育訓練」と言って、社員同士が切磋琢磨する機会を設けています。私も、この機会に話をさせてもらうことがあります。当社の職人は、長年の経験から培った確かな技術がありますが、そこに新しい手法を加えることで、その技術に更に磨きがかけられると思っています。仕事現場の本番で使えるものにするには、まだ時間を要しますが、こうした機会を通じて私の考え方を伝えるようにもしています。

|これから社会に出る学生のみなさんへ
 中小企業で働くことの魅力の一つは、一人ひとりの存在意義が強いことです。その人がいるかいないかで、会社の運命が変わってくる。自分の力で会社を変えてやる、自分の力で勝負したい!と考える人には、向いているのではないでしょうか。

 学生の頃の私はリスクを嫌い、失敗を恐れる傾向が強くありました。
 しかし今思えば、自分では解決出来ないような問題に発展するほどのリスクを負う事なんて学生時代にはまずなかったし、もし何かに失敗したとしても、真摯に向き合いさえすればどうにかなる。失敗したって「まぁ、いいじゃないか!」でいいと思うんです。

|全力×全力=自分の強み -私の経験談-
 若い頃は失敗を恐れず、バイトでも趣味でも何でもいいから全力で深く追求することが大切です。適当に浅くさらうだけではあまり身にならないと思います。深く掘り下げる事ではじめて気付く事がある。他の何かに転用出来るようにもなる。最後にはそれが自分の強みになって返ってきます。
 ここで私の経験を1つ紹介します。
 春日部校では、県の展示会に出品するための卒業制作が課せられ、何人かでグループを作って取り組みます。私たちのグループは「ハウルの動く城」を制作することにしたのですが、何しろあの出で立ちです。絵によってパーツの形や配置が違う。見る人によっては解釈も違う。具体的な作業は遅々として進みません。このままでは提出期限までに完成できないと思い、グループのメンバーに「一旦俺に仕切らせてくれ」と頼みました。その日からは、寝る時間以外のほとんどを「どうやって作るか」を考える事に費やしました。大きな責任を感じましたが、とても充実した日々でした。そんな中、辿り着いたのが「図面を描く事」と「役割を分担する事」です。
s-DSC_1443_4.jpg 図面を描いて寸法で示せば、全員が同じ完成イメージを共有できます。絵を眺めているだけではわからなかった事にも気付けます。同形状で少しずつ大きさの違うパーツが欲しい場合には、図面の寸法を少し変えてあげればすぐに意図も伝わります。「これよりちょっと大きいやつが欲しい」という言い方をしていたら、おそらく欲しいものは出来てこなかったでしょう。
 役割分担は事態を劇的に変化させました。「みんなが同じ」ではなく、人によって特徴があります。明確な寸法指示さえあれば黙々と大量のパーツを作れる人、図面では指示しきれない部分を豊かな想像力で作り上げる人、メンバーの特徴に合わせて作業を割り振る事で制作は速やかに進行し、無事に完成させることができました。
 ものづくりの現場では、図面で意図を伝える事が基本中の基本です。適正に応じて役割を分担する事も当然のこととして行われています。当時は目の前の作品を仕上げる事に必死になっていただけですが、そうして突き詰めた結果、最後には「ものづくりの基本」に辿り着いたのです。その経験は今でも、自分の強みとなって支えてくれています。

|読書のすすめ
 最後に私のお薦めの一冊を紹介します。
 それは「下町ロケット」(池井戸潤著)です。とても有名な作品の為、ご存じの方も多いかと思います。
舞台となるのは、とある中小企業。日本の企業は大多数が中小企業ですから、多くの人にとってそれは他人事ではありません。
 物語は、そんな中小企業の熱い息吹やものづくりへの執念を軸に、技術的な問題、法律的な問題、時には人の複雑な感情も絡め、ダイナミックに展開します。
「仕事に関する本は読みたいけれど、ビジネス書には手が伸びない。」そんな方には特にお薦めの一冊です。

sawa4.jpg看護国試専門予備校 さわ研究所
代表取締役 さわ 和代

 さわ研究所は、看護師国家試験対策だけを専門に行っている予備校です。久喜市で2003年に創業したのが始まりで、現在はさいたま市の本部校の他に、大阪校、仙台校があり、全国で実施する各期講座を含めると、毎年延べ3万人以上 がさわ研究所の講義を受講しています。
 
 さわ研究所では、講師や営業、経理、ITなど様々な業務に従事する社員がいますが、採用する際に重視するのは、「一緒に働きたいと思うかどうか」です。採用した以上、社員一人ひとりが家族の一員です。会社というものは、モーターのエンジンを入れれば自動で動きだす船ではなく、手漕ぎボートのようなものなので、社員全員でボートをこぎ続けなくてはいけません。家族となった社員全員が同じ方向を見て、呼吸を合わせることができて初めて、ボートは前に進むのです。
 社員には心が育つように、成長するように、毎日の朝礼では自身をさらけ出していろいろな話をします。共感する部分があってほしいと思うし、違うなと感じればとことん議論します。就職してから1年、3年、5年と年月が経った時、心が成長し、強くなればどんなストレスも乗り越えることができるでしょう。心の成長を通して、互いに感謝しあう気持ちを育んでいきます。
 
 中小企業で働くことの魅力の一つは、社員の成長スピードの速さです。全員が戦力のため、任される仕事の幅が広く、経営感覚が身に付きます。一概に、中小企業、大企業とくくる意味はありません。企業それぞれには、個性があります。どこでなら自己実現ができるのか、その本質を見極めることが重要ではないでしょうか。

 文明の進歩とともに社会も成熟し、人々も成長してきたように感じます。大学生や高校生など未来を担う最近の若い方々は、情報収集を行い、よく考え、準備して行動ができていると感心しています。ただ、失敗もしていいんだと思ってほしいと思います。何かをやってみての失敗は、結果であって、失敗ではありません。失敗とは、何もやらないことだけです。夢や希望を持ち続けて、冒険してみてください。行動を起こし、動けば動いただけ、自分自身に戻ってきます。部活動やサークル活動を含めた学生生活での『頑張った』積み重ねが、やがて世の中に生きてきます。
 また、本に親しむ習慣をつけるとよいでしょう。本に親しむということは、読む力、書く力、伝える力を身に付けることになり、自分自身の整理ができるようになります。通学の電車内や寝る前の時間などを使って毎日実践できるので、是非、良書に触れてください。
 そして、がむしゃらにやる覚悟を持って、社会に出てください。仕事は最初から楽しいわけでは決してありません。学びがあって、苦労があって、その過程の先に楽しさが待っています。仕事は裏切りません。一生懸命やれば、必ずプラスになって返ってきます。

埼玉県立川口高等技術専門校情報処理科修了
オープンシステムクリエイト株式会社 安藤健太・鈴木悠裕
(平成24年4月入社)

 

小学校から中学、高校、専門校と共に学び、就職先もオープンシステムクリエイト株式会社にともに就職した安藤健太さんと鈴木悠裕さん。就職して2年が経つお二人に、就職活動の体験談や現在の仕事のやりがいなどについてお話を伺いました。(聞き手:埼玉県職員)

|社長との相性が企業選びの決め手に
  ― 厳しい就職活動を強いられる昨今、どのように就職活動を進められたのでしょうか。

 私たちが就職活動をした平成23年は東日本大震災があった年で、求人が落ち込んだ年でした。専門校に求人票が来た企業の中から、担任と相談しながら多くの企業説明会へ行きました。当時を振り返ってみると、企業選びはなんとなく自分に合いそうだなと思う企業へ応募しましたが、最後の決め手は社長の話にとても共感し、会社の雰囲気が気に入ったからだと思います。

|「誰にも負けない」を身につける
  ― 入社して2年が経ちます。働いてみてどんな時にやりがいを感じますか。また、身に付いた能力はどのようなものでしょうか。

 システムの開発に携わっていますが、大規模システム開発の場合は、当社のみでなく様々な会社の方々と共同開発をします。その際、他社の優秀な技術者と知り合うことで、高い技術を身につけることができます。自分が担当した案件がテレビで紹介された時などは、大変うれしかったです。
 仕事を任されて、「この仕事は誰にも負けないぞ」という力を身につけた時、当社に入社してよかったと思いますし、更なるやる気もわいてきます。

|社長と社員の絆
  ― 職場の魅力について教えてください。

 当社の特徴は、社長が社員一人ひとりをしっかりと把握していることです。業務内容はもちろんのこと、仕事上の困難やプロジェクトでの人間関係、通勤時間など、きめ細かく面倒を見てくれます。社長と社員との間に深い絆があります。大企業ではなかなかできないことだと思います。

|伝える力の大切さ
  ― 学生時代を振り返ってみて、やっておいたほうがよかったなと思うことはありますか。
 自分の考えを人前でしっかりと伝える練習、訓練だと思います。仕事では、自分の意見を正確に相手に伝えることが必要です。そのためには、相手の言葉をよく理解し、自分の意見としてまとめる力が必要になります。プログラマーやシステムエンジニアは、お客様の要求を実現することが求められますが、そのためには何に困っていてどのようにしてほしいのか、要望を十分に聞き出して、具体的に提案していく表現力も求められます。
 専門校でパワーポイントを使ってプレゼンテーションする機会が6回ありました。手抜きをせずに一生懸命に作って、人前で話す訓練をたくさんしておけば、就職してもその経験を役立てることができたと思います。

|辛さの先に待っている、達成感と爽快感
  ― これから就職活動を始めたり、社会に出始めたりする後輩たちへのメッセージをお願いします。
 仕事をしていると、楽しいことはたくさんありますが、辛いこともそれ以上にあります。辛くてもすぐに逃げ出さないでください。お互い3年間は頑張りましょう!仕事をやり遂げた後の達成感と爽快感を感じてください。
 厳しいことを付け加えれば、お給料をもらうということは、労働に対する対価です。学生時代は精一杯勉強しましょう。遅刻や欠席は論外です。お金をもらうということの厳しさを心得て、社会に出てください。

H26.5月号用写真3.jpg 

鈴木さん(左)と安藤さん(右)

平成24年度 埼玉県立中央高等技術専門校 空調システム科修了
    株式会社前川製作所 須田 光裕
  (平成25年4月入社)

 

 私は今、"ものつくり"の会社で仕事をしています。
 大学までは、ずっと文系の分野で学んできましたが、いざ就職活動を目前に控え、なんとなく不安な気持ちに駆られました。社会に出る前に技術・技能を習得し、確かな自信を持ちたいと思い、大学を卒業した後、埼玉県立中央高等技術専門校、空調システム科へ入校しました。

 2年間の学校生活では、5つの国家資格の取得に挑戦しました。専門的な言葉も多く、夜遅くまで勉強が続き大変でしたが、クラスメイトとも励ましあい、毎日楽しく勉強することが出来ました。
 また、実技習得の実習では、工具の取扱い、電気の測定、銅管の溶接など、繰り返し練習を重ねました。社会で働くようになった今、これらの技術専門校で過ごした日々を懐かしく感じ、ここで学べたことに心から感謝しています。

 就職活動では、技術専門校での経験を活かせ、海外でも活躍出来るような会社を希望しました。先生と何度も相談しながら会社案内などを見て、業務内容や会社の目指している方向性をもとに、ここなら働いてみたいと思う会社を受けました。
 そして、株式会社前川製作所という"ものつくり"の冷凍機製造企業に内定をいただき入社しました。

 マエカワは、入社してから3年目までは、全員が社員寮で生活をしています。現在、私も寮での生活をしています。ひとつ屋根の下で同じ釜の飯を食べ、楽しい毎日を送っています。
 マエカワは、人を大切にする社風があり、一緒に生活することにより社員同士の繋がりができ、一体感が生まれます。"ものつくり"は、人に蓄積された経験や熟練された技能が必要ですので、社員同士の良好なコミュニケーションと結束力は製品の出来に大きく影響します。
 
 現在は、冷凍機の心臓部である圧縮機を作る工場に勤務しています。マザー工場といって、ここで作ったものを国内、国外へ輸出します。
 今は学生の頃とは違い、給与をいただきながらの勉強の毎日です。先輩からはいつも厳しい言葉かけがありますが、早く1人前になろうと努力を続けています。

 失敗して反省することもたくさんあります。何でもこなしてしまう大先輩からこんなことを言われました。「失敗はしてもいい。だが、同じ失敗はするな。」これが仕事をしていく上で非常に大切なことだそうです。私は、失敗は早く仕事を覚えるための近道だと思います。

 今は、常に仲間とともに技術の習得に挑戦し、毎日が充実しています。"ものつくり"は、人をつくることでもあると思います。就職活動中のみなさんも失敗を恐れずに"ものつくり"に挑戦してみませんか。

         須田さん写真(掲載用).jpg


 

                            関東食糧株式会社
                               常務取締役 白岩 智

 当社はレストランや飲食店などの外食産業向けに業務用食材を販売している卸売業者です。1970年の創業以来、多くの方々にお力添えをいただいて、埼玉県内で規模、シェアともに№1の企業に成長することができました。

 私は当社の経営資源全般を管理する立場から、ここ数年、数多くの採用面接に関わってまいりました。
 採用活動を行う中で、最近の若者について気が付いたことは、昔の若者に比べて「がつがつ」したところ、ハングリー精神のようなものが欠けているということです。

 少子化により、小さい頃から親御さんに十分に手をかけてもらって育てられたせいか、礼儀正しく、素直で従順なのですが、知らないことや新しいことに自分から飛び込んでいくところがないように思います。近年の若者はコミュニケーション能力が欠けているとも言われますが、失敗を恐れるため、新しい関係・環境に入って行こうとしないからではないでしょうか。

 私共の業務は、川上(生産者)から川下(消費者)へ商品や情報をつなげる仕事であり、日本を代表する大手メーカーなどから登録数35,000アイテムの商品を仕入れ、全社9,000件のお客様に「求める時に、求める価格で、求める所へ、よりよいものを」お届けしています。仕入先や顧客などの非常に多くの人と関わることから、当社にとっては「人」が最も重要な経営資源となります。
 「食」に関わるビジネスは人がすべての源ということから、わが社の企業理念は「人源」ですが、人が成長しなければ、企業の成長はないと考えております。

 ですから、当社の社員には多くの研修の機会を設け、普段から自分の仕事に問題意識を持つように指導しています。自らの仕事はあらゆる部門に関連していることを自覚させ、営業のお勧め品情報を配送部門からお客様に勧めてもらったり、配送からお客様の情報を営業に伝え、仕入先の商品開発に活かしたりと、皆が協力し合って仕事をし、皆から成果を認められることによって、人として成長できるような企業を目指しています。

 また、当社の採用では、学歴や資格などよりも人柄を最も重視します。仲間として一緒に仕事をしていきたい人を選考します。
 採用面接では、御自身の得意なものなど良い点をアピールする方がほとんどですが、私共はその方の失敗談を必ずお聞きし、その失敗にどう対処されたかを採用の決定ポイントとしています。人は困難に直面した時、ポジティブに考えるか、ネガティブに考えるかなど、その方の基本的な姿勢や考え方が露呈されるからです。

 私がこれから就職される若い方に申し上げたいことは、人は失敗や挫折によって成長します。ですから、学生時代は失敗を恐れず、やりたいことにどんどんチャレンジしてみてください。
 また、勉強でも、旅行でも、アルバイトでも、自分からどんどん刺激を入手してください。
 そのような経験は、必ずあなたを人として成長させ、どんな企業からも求められる魅力的な人物にしてくれるはずです。

 

白岩常務.jpg 

         (埼玉県内企業魅力紹介システムの当社のページはこちら

 「働く」。このことについて考える機会が非常に多くなった。
 と言うのも自らの学生生活も折り返し地点を過ぎ、社会に出るその時が刻一刻と迫ってきているため。また、就職活動といった一大イベントに参戦しているためでもある。

 今までの学生生活に「働く」といった要素が無かった訳ではもちろんない。アルバイトを通してそのことに携わってきていたが、社会に出て「働く」というのは今までにない大きな転換点になるだろう。

 今までは学生といった肩書きが根底に存在していて、勉学に勤しむこと、多様な経験を通じて自らを発見することが第一に求められてきた。しかし、これからはその肩書きは消え、一人の社会人としての扱いを受けることになる。今までにない自立を求められる。

 社会人の方の立ち振る舞いや言動を聞いていると、その端々から責任を持って仕事をしているといった誇りが感じられる。これは「働く」ことには大きな責任が伴っているからであり、また、顧客との信頼関係の構築が不可欠なためである。

 今回動画撮影の際に訪問させていただいたデイサービスを行う、(有)サーバント様の仕事風景にも責任や信頼が端々に表れていた。働く職員の方は実に誇らしく仕事をしていたし、サービスを受ける利用者の方もとても満足そうであった。

 日々の仕事が勉強であるとおっしゃっていた方もいらっしゃった。今回の場合、利用者を安全に自宅に送り届けることや、安全に入浴の手助けをすることには責任を伴うし、依頼者の信頼がなければ十分なサービスは成り立たない。相互の理解ができて初めて、満足のいくサービスが成立するのである。社会人の方々の誇りは、自らの責任を全うし、顧客から信頼されているという自信からくるものであろう。

 (有)サーバント様では仕事に向き合う姿勢、ひたむきさを教えて頂いた。思うに、「働く」ことは今まで培ってきた自らのエッセンスを多分に活用して、自分の責任を全うし、自分を磨いていくことなのではないか。


       立教大学社会学部 メディア社会学科 砂川浩慶研究室 3年 田窪達也
                              ((有)サーバント担当) 

田窪さん写真.jpg 

 最近いろんな職場、それもいわゆるゲンバと呼ばれる、つい最近まで男の聖域だった現場で黙々と働く若い女性を見かけるようになりました。彼女たちの背中はまるで「もう男性(あなた)たちに任せてはおけない」といわんがばかりです。

 私の研究室の卒業生でも数年前、卒業と同時に造園会社を立ち上げた女子学生二人組がいました。ぱっと見はごく普通のどちらかといえば小柄で可愛らしいタイプの女子学生で、普段着の彼女達からは想像もつかぬ職業/人生の決断です。
 きっかけは造園の授業でのある非常勤講師との出会いでした。その先生は学究肌の石工職人で日本庭園にも造詣が深く、当時70代後半でしたが素手であれよあれよという間に木にのぼってしまう造園の達人でもあります。大学で使うテキストは全て几帳面に製本した手作りで、そうした実直な手触り感覚が彼女達の心をとらえたようです。

 ものつくり大学は2001年に開学しました。大げさにいえば21世紀、考古学的にいえば新たな千年紀とともに開学した「ものづくり」をテーマとする大学です。しかしながらその名称は「ものつくり」と「つ」に濁点がありません。そこには梅原猛総長の縄文の世から綿々と育まれて来た日本人のものづくりの精神に濁りがないという建学の理念が埋め込まれています。
 さらにその英語名 Institute Of Technologists は、あの「もしドラ」の故ピーター.F.ドラッカー先生の命名です。マサチューセッツ工科大学M.I.T.や東京工業大学T.I.T. の末尾のT:Technology/技術 ではなく、Technologists/技術を具現化しうる人間/技能者 にフォーカスを当てています。

 そのP.F.ドラッカー研究の第一人者である本学名誉教授上田惇生先生のホームページ(http://www.iot.ac.jp/manu/ueda/)に「若い方」へと題し、経営学の巨人P.F.ドラッカーの著作から6編の金言・至言が紹介されています。これから社会に出ようとする若者たちだけでなく、日々仕事で悩む我々にとってもこれほど勇気づけられる優しい言葉はないかもしれません。

 道聴塗説になりますが、その中の一編「成果をあげるのは才能ではなく姿勢と方法」を紹介します。上田先生はドラッカーの著作から以下を引用し、

  『非営利組織の経営』:成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。
  いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題であ  
  る。しかし組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優
  れるに至っていない。

  『経営者の条件』:成果をあげることは一つの習慣である。習慣的な能力の集積で
  ある。習慣的な能力は修得に努めることが必要である。

 「共通点は、成果をあげる能力、つまり、なすべきこと(なしたいこと、つまり自分がやりたいことではなく)を真摯になし遂げる能力を身につけていることだけである。」と解説しています。

 冒頭紹介した女子学生達は、卒業式の前日までボランティアで大学キャンパスの手入れをしていたことをいまでも鮮明に覚えています。今から想うと、彼女達の姿勢には既に経営者としての習慣/資質が培われていたようです。

                   ものつくり大学 建設学科 学科長 八代 克彦

 私は、草加市に本社がある株式会社珍来総本店という、中華麺等の食材の製造・販売業及び中華料理店を営まれている企業の動画を、同じゼミのメンバー3名とともに撮影させていただくこととなりました。撮影動画は、来年1月初めに「彩の国はたらく情報館」へ掲載される予定です。

 「働く自分の姿を想像できるような動画を」。動画を作成する際、「自分が就職する会社を選ぶとき、どんな情報が必要なのか。私ならこんなポイントを重視する!」とグループのメンバーと話し合いながら構成を行うことに注力しました。
 そして作成する動画のコンセプトを「働く自分の姿を想像できるような動画」としました。

 動画が写真と文字だけの情報と大きく異なる点は、入社したら一緒に働くことになる社員の方々のリアルな現場での声と動きで、私たちが動画を見て容易に企業の様子を想像できる点だと思います。

 私達も今年(2013年)の12月から就職活動が始まり、今は自分の興味や関心のある企業をインターネットで調べている最中です。インターネットで調べただけでは分からないから、その企業の方々に直接お話を聞きに行くこともあります。正直手間もかかるし、中には会って話す行為に中々踏み出せない学生も多いかもしれません。

 しかし、ネットで見るのと実際に企業の方々に会ってお話を聞くのでは、その企業に対する印象が全く異なります。今回私たちが撮影した動画にも、インタビューを多く掲載させて頂きました。企業の方々にご迷惑をかけることも多々ありましたが、お忙しい中快く応対してくださり、私達が「働きたくなる」内容になったと思います。

 特に珍来総本店には独特な独立支援制度も設けられているので、将来独立開業したいと思っている学生には、是非動画を視聴してもらいたいです。

 「はたらく」ことを考えたとき、もちろん私たちは自分に合った職場で長く働きたいと考えているはずです。インターネットが発達して様々な情報が容易に入手できるようになりましたが、情報過多となり、学生は大企業にばかり目を向け、本サイトで掲載されているような中小企業に目を向ける人は少ないように感じます。実際、私達もそうでした。

 今回、就活生向けの企業紹介映像を作成する機会を与えていただいたことで、中小企業で働く魅力について身をもって体感することができました。
 私たちが撮影した動画を多くの学生が参考にして、自分の将来を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
 
 立教大学社会学部 メディア社会学科 砂川浩慶研究室 3年 五十嵐くるみ
                             ((株)珍来総本店担当)

 幼少の頃から両親に、「壊れたモノは修理。使えるモノは直してとことん使う。」といった教えを受けて育った私は、必然的に機械いじりが好きになりました。大学時代の部活では、車好きが高じて自動車部に入部。仲間と調子の悪い車を修理して直ったときの嬉しさや達成感から、自動車整備士に憧れを持つようになっていました。

 就職に際して、自動車業界、取り分け自動車整備士として就職を前提とした場合、整備士資格は必須となるため専門学校への入学を決意しました。
 大学4年の夏、5校以上の専門学校を見学し、その中で熊谷高等技術専門校はいい環境だと好印象を持ちました。少人数教育のため、他の専門学校と比較すると多くの指導が受けられ、実習でも車に触れる機会が多く、基本を身につけるには最高の環境だと感じたからです。

 高技専入校後の就職に向けての取組としては、可能な限り良い成績を修めることを目標に授業を受けました。実習では誰よりも多く車に触り、誰よりも多く作業に取り組みました。高技専の先生方は、理解できないことはできるまで、徹底的に指導してくれます。また、工場内や身の回りの整理整頓、挨拶や返事の仕方など、コミュニケーションの取り方などについてまでも厳しく指導を受けたことも、現在では仕事に大いに生かされています。
 今思うと、高技専時代に必死に勉強することができてよかったと思っています。大学時代よりも勉強に取り組んだかもしれません。自動車整備では、基本がわからなければ車を整備することはできません。高技専で学んだ基礎・基本が私の武器です。

 現在、埼玉トヨタ自動車株式会社熊谷店サービスグループに所属し、日々忙しく仕事をしております。
 私の主業務は、車両整備ですが、お客様の接客をする機会もありますので、コミュニケーションスキルを高め、よりよい接客ができるよう心掛けています。

 私が就職に当たって、この企業を選択した理由は、トヨタのフラグシップ・ディーラーであることはもちろんですが、「教育体制がしっかりしている。」と知人の整備士からアドバイスを受けたことによります。
 整備士は、資格を持つだけでは一人前の整備士とは認められません。優れた教育システムや環境を活用しながら、さらに研鑽を積むことが求められます。
 高技専で培った基礎力をさらに高められるのは、この企業しかないと確信し、受験に臨んだことを今でもよく覚えています。

 高技専で学べたことにより、希望の企業で希望の業務に携われることは、大変嬉しいことです。高技専の評価は、長い歴史に裏付けられた評価に負うところも大きいと感じています。一例を挙げれば、高技専出身のメカニックを欲しがる店長もいるぐらいです。

 私は、よく上司から「自分の好きなもの、得意なものをとことん追求し、誰にも負けないものを身につけなさい。それが強みや自信になり、いい仕事ができるようになる。」と言われています。
 技術系の業務に興味のある方は、是非、高技専での学習機会を選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。きっと人生を生き抜くための「鍵」を見つけることができると思います。
 これから社会に出て活躍される皆さん「強み」や「自信」を一つでも多く身に付け、楽しく有意義な人生を送ってほしいと思います。
 

  平成19年度 埼玉県立熊谷高等技術専門校 自動車整備科修了
    埼玉トヨタ自動車株式会社 熊谷店サービスグループ  松 田  純
  (平成20年4月入社)

松田2.jpgのサムネール画像

 私は高校3年生の時、埼玉県屈指のやきとりメーカーであった父の会社が倒産の危機に直面したため、家業を助けるために広告企画業を創業しました。
 経営の転機は創業して4年目に訪れました。西武本川越駅ビルPePeから「川越祭りの目玉に」とのはたらきかけで、祖父と父が作り上げた味「本場東松山名物みそだれやきとり」を川越祭りに出展することになりました。これが小江戸・川越の人々に思いがけない反響を呼び、丸広百貨店の隣接駐車場で土日のみの営業を開始し、これを契機に現在の食品関連事業に経営をシフトしました。
 その後、世界食品品評会モンドセレクション2008にて、「秘伝みそだれ」が最高金賞を受賞し、輸出を通じて、我が国の代表的な和食文化・やきとりの味を海外へ伝える会社にまで成長しました。

 近年の若い方が置かれた就職環境は非常に厳しいものと伺っておりますが、私の経験から、なかなか就職が決まらない方には、以下のような共通した特徴があるように思います。

・挫折を経験したことがない又は挫折をした際に乗り越えた経験が少ない人
・すべての問題の原因を自分に求めない人
・論理的な思考スキルが足りない人
・自分を客観視できない人
・自分の人生に長期目標がない又は長期間我慢する理由のない人
・利他*を長期間実行できない人

 大企業の場合は、「採用したい人」のかたちが決まっていて、その「かたち」に当てはまる人を採用し、「かたち」の違う人は他に行ってもらえばいいという考え方ですが、我々中小企業は、まず人ありきです。人がいて、その上でこの人は何が得意で何が苦手かを考えて、その人にあわせて仕事や会社を変えていかなければなりません。
 
 障害のあるなしにかかわらず、働くことにおいてハンディを背負っていない人間など、そう多くはいないと思います。高齢者の方も、外国人の方も、育児中の方も、介護をされている方も、働く上でみんなハンディキャップを抱えているのです。

 ですから、私の会社で欲しい人財とは、積極性と責任感があり、ダイバーシティなコミュニケーションスキルのある人です。
 ダイバーシティなコミュニケーションスキルとは、さまざまな違いを尊重して受け入れ、「違い」を積極的に活かすことにより、変化しつづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに最も効果的に対応し、企業の優位性を創り上げることです。

 私の会社には、障害者の方から高齢者や外国人の方まで様々な社員がおります。会社はお神輿と同じです。ハンディがあろうと誰もぶら下がってはいけません。なぜなら、隣の人の荷が重くなりますから。

 当社は「彩の国・傍楽(はたらく)創造企業」とも申しております。「傍楽(はたらく)」は私の造語ですが、「傍楽(はたらく)」とは「傍迷惑(はためいわく)」の反意語であると考えます。自分の周りの人を少しでも楽に、楽しくしてあげられた結果、人が仕事をしたといえるのではないでしょうか。そのような思いから、彩の国・埼玉県で「傍楽(はたらく)」気持ちを社員が共有し、新しい創造を実現できる企業を目指しております。

* 他人の利益となるように図ること。自分のことよりも他人の幸福を願うこと。

 

                                                        株式会社ひびき
                                                            代表取締役社長 日疋 好春

日疋社長顔写真.jpg

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彩の国はたらく情報館 若者向けコラム「はたらくこと」って?について


 このコラムでは、採用後5年以内の先輩社会人、企業の人事担当者、企業経営者等から若者に向けたメッセージを掲載しています。