埼玉県では、県が発信する様々な情報を、より着実に伝え、相手に届け、関心や理解を深めてもらえるよう「相手に届く広報」の実践に取り組んでいます。
その一環として、2010年2月5日(金)埼玉県県民健康センターにて、埼玉県庁内「広報コンクール」の最終審査が行われ、一次選考を通過した、アイデア・意欲に富む5つの取組を発表し、最終審査が行われました。
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司会進行は「勇さま」こと、広聴広報課の斉藤主幹。
県庁からは毎日、膨大な数の情報が配信されています。
埼玉県では着実に相手に届けて、関心や理解を深 めていただく広報の実現に取り組んでいます。県の事業に関係する方々に共感していただいて報道して頂く。その為に県庁内の広報力を高める研修や、 今回のコンクールのようなことを実施して、広報力の底上げを図っています。と、説明がありました。
■審査員紹介
平林紀子 埼玉大学教養学部教授
本田哲也 ブルーカレント・ジャパン(株)代表取締役社長
塩川 修 埼玉県副知事
※特別審査員 兼 ゲストプレゼンテーター 埼玉大学学生2名も参加した。
【各部プレゼンテーション】
=発表の順番は、事前抽選にて決定。時間は発表7分以内・審査員からの質疑応答5分間=
■県民生活部
・タイトル
一流のプロフェッショナルに会いに行こう!
埼玉県青少年夢のかけはし事業
・内容
埼玉県が繋ぎ役となり、子供たちに、埼玉県ゆかりの一流の人々とふれあう場を作り、将来の夢を大きく膨らませる手助けをする事業。
21年度は小中学生向けの学びと体験の教室で14教室を開催。
プロたちとの素晴らしい出会いを通じて、埼玉の子供たちが将来、日本や世界で活躍して欲しいと期待している。
事業目的を達成するために、何より子供たちに参加をしてもらうこと。
まず、14教室すべてが参加募集人 数を上回ることを、第一目標にした。さらに広報活動を通じて、子供たちが夢や目標に向かってチャレン ジしていただけるような子供たちの拡大を目指した。
ターゲットは、教室の対象者である小中学生、その参加に大きな影響力を持つ、その保護者に絞り広報を した。
わかりやすい、キャッチコピーが必要と考え“一流のプロフェッショナルに会いに行こう!”と決定。
PR活動は、チラシ配布(県内すべての小中学校)。上田知事を広告塔にし、タイムリーに知事記者会見も 利用。そして、青少年のいる各種団体、会員100万人を誇る青少年育成埼玉県民会議を通じ広報活動を積極的にした。
結果14教室のうち12教室が定員を上回る募集人数になった。合計3120人。
中でも、「朝田晋平シェフパティシエのお菓子作り教室」は12.6倍となった。
参加者のアンケートで、満足度は95%。夢や目標にチャレンジしようと思う子供の割合82%と高かった。
活動検証、「何でこの事業を知ったか?」は、ターゲットに直接届くチラシが本人・保護者共に1・2位 はチラシだった。また、「今後どのような教室に参加したいか?」では、サイエンスものづくりなどが多かった。
・質疑応答
平林氏 Q. ターゲットも練られていて、とても素晴らしいプロジェクトでとても成功した例だと思います ・・・。一度、成功して参加した子供たちが、自分の夢に向かってチャレンジしていく、次のステップ2年目などの具体的計画は?
A. 新たな分野として、サイエンスものづくりが希望も高いので、開催したいということ。今年度、行った教室をレベルアップするような内容にして、子供たちのチャレンジ精神を拡大していきたい。
本田氏 Q. 今回の教室も面白いが、選定の基準は子供たちの希望などは入っていたのか?
A. 過去、青少年の意識調査で「将来何になりたいか?」では、1位がスポーツ選手という事もあり、県内 は特にプロスポーツ団体も抱えていることから計画した。
塩川副知事 Q. 実際に選ぶ時に、どのような選考の仕方をしたのか?
A. 庁内については、教育局などに同じような教室がないかを確認し、選定した。
☆弊社、ポータルサイト『イーシティさいたま』でも、募集記事を掲載。
■環境部
・タイトル
みんなでマイボトル運動
・内容
マイボトル運動とは、マイボトル用容器に飲み物を提供する協力店の拡大と、マイボトル利用者の拡大。 自治体や多様な企業との連携により消費者へアプローチし、これを通じてゴミを出さないライフスタイル の定着を図る。
運動に取り組む背景は、埼玉県のゴミの最終処分量(H19年度約18万トン)は、年々減少しているが、埼玉 県内の最終処分量の3分の1(H19年度約6万トン)を県外で処分していることから、ゴミの削減をしていく 必要がある。
家庭ゴミの約6割がペットボトルなどの容器包装がゴミになっている。
マイボトル運動の効果は、一人年間160本使っているというデータがあることから、仮に160本の消費をやめた場合、ゴミ排出量でみると一人一日あたり12gの減少効果がある。埼玉県では一人一日あたり962gのゴミを排出しているので、その1%に相当する。
広報のポイント、段階的に協力店のエリアを拡大していった。埼玉県では平成20年10月に、さいたま新都 心からスタートさせ、浦和地区、また八都県市でマイボトル使用の呼びかけを行った。
※【参加店舗数】1,671店舗 [八都県市内訳:埼玉県168(さいたま市39)、千葉県149(千葉市41)、東京都1,059、神奈川県295(横浜市145、川崎市56)
八都県市との連携による首都圏レベルでの広域的な取り組みへと発展し、規模のメリットを活かした、電車の車体広告や車内広告など1つの自治体では実現困難な広報も実現した。
埼玉りそな銀行やそごう大宮店などの企業との連携で話題性やニュース性が高まり、多様なメディアで報道された。
利用者へのメリットとして、マイボトル利用者には飲み物の割引提供などをしてくれる協力店を紹介し、 利用者の視点に立った情報配信を行った。その結果、運動当初は20人に一人の割合から、2倍の9人に1人に 利用者が増えた。
・質疑応答
本田氏 Q. 埼玉県ならではのゴミ処理の課題や、県民の興味を強調するような仕掛けなどはどのように考えていたのか?
A.埼玉県の場合、一人あたりゴミ処理費用は年間13,000円程度かかっている。そのようなゴミ処理の現状 や、事実上ゴミを減らしていかなければならない実情などは、今回のマイボトル運動に絡めて、積極的に は広報していなかったが、この取組も一定のまとまりになってきたので、今後はゴミの排出抑制という、 もう少し大きな目標の中で意識付けられるようにPRしていきたいと考えています。
塩川副知事 Q. 県庁職員についての推進は?
A.環境月間の時などには、庁内放送で実施を呼びかけたり、庁議の場でも、幹部の方にまずは使って頂くという事でマイボトルを購入していただいた。
☆塩川副知事から、私も庁議の場で購入したので、これからは使います・・・!とコメントしました。実は、この庁議出席の方々が購入したのは、我が『コバトン屋』のコバトンエコタンブラーだったのですよ♪
この場をお借りして・・・「お買い上げありがとうございました。」 m(_ _)m
平林氏 Q. これだけのことをやっている割には、持参率の低さを考えてしまいます。若い人たちをターゲットにする為に、今後、別のアプローチなどを考えていますか?
A.基本的には協力店の拡大をしていくというのが大きな柱です。ただ、ゴミを減らすというのには色々な 取組がありますが、コツコツをやっていく。例えばレジ袋の削減もそうですし、色々な取組をしていきたいと思っています。
■企画財政部
・タイトル
〜官民連携で全国初の新しい情報発信のかたち〜
「ローソンプレミアム広報」を実施
・内容
平成20年度、大手コンビニエンスストア等との相互連携により、地域活性化と県民サービスの向上を目指し、包括的連携協定を締結した。
企業にとっては県と連携することで信用力やブランド力が向上するビジネスチャンスの拡大につながる。 県は企業のノウハウを活かし事業を効果的・効率的に進めていくというところであり、企業・県共にメリ ットがある、Win-Winの関係を目指すことが理想。
包括的連携協定を締結している、コンビニの数は県内1,800以上あり、県内コンビニ総数の77.6%を占めている。このスケールメリットを活かし、県からは「チラシを置いて欲しい」などの広報協力の要望が多くを占めている。しかし、これは県からのお願いでありWin-Winの関係ではない。
また、コンビニのカウンターには商品ケースが並び、壁には惣菜や飲み物などの商品で埋め尽くされ、コ ンビニも県からの要望に答えられないのが現状だった。
ローソンから、景品(プレミアム)と広告を一つのパッケージにして、お弁当に貼り付ける手法「ローソ ンプレミアム広報」を提案された。
ローソンと、裏面の広告主はお弁当を買った県民にプレミアムを提供し、県民に対し県は、手元に直接情 報を効果的に届ける広報が行え、割引等のサービスで購買意欲が高まれば地域活性化も期待できる。ローソンは県に、広報協力と社会貢献活動をし、県はローソンと社会貢献活動をアピールすると共に、お弁当の売り上げアップ、企業ブランドの向上に寄与する。
この工法は、近江商人の三法よしの発想同様、県民・企業・県の三者にメリットをもたらす画期的な商法 。
企画詳細、県は費用を圧縮するために裏面を企業広告とした、また、プレミアムを県産材のコバトン木札 を作り県産材に親しんでもらい、「埼玉の木づかい運動」も同時にPR。
プレミアム及び同梱する広報紙には「安くて、近くて、楽ちん〜埼玉新発見!」と題した観光情報を満載 。結果、お弁当の売り上げは5〜10%の伸びがあった。
広報実績は、新聞掲載が11件。トップメディアの掲載もあり、テレビでも特番を組まれた。第一段が成功し、その後、第二段は不況のあおりなどもあり、広告主が見つからないなどという事もあり 実現していない。
・質疑応答
塩川副知事 Q. 第一段で終わってしまったという事だが、お金以外のところはどうだったのか?
A. 企業のメリットを活かしながら、0円で広報をするというやり方も、夏以降実施していて、最近でもローソンから、県が全く負担をしなくても協力できるような企画を提案していただいている。
平林氏 Q. ローカルな感じがする。もう少し広い地域で考えたりはしたのでしょうか?
A. 埼玉県は、どこのコンビニにしても東京に次いで店舗数が多いということで、ローソンだけでも330店舗 ということがあったので、そこで展開すると50万円かかる、関東でやろうとすると費用がかかりすぎてしまうので埼玉県で実施した。
本田氏 Q. 役割分担や進め方はどうだったのか?
プレゼンがとてもわかりやすかった・・・とコメント。
A. すでに、ローソンでは、WOWWOWと協力し、チラシ両面がWOWWOW、マスコットもWOWWOWが出すという、P R商品の企画実績が1回あった。
県とのコラボというのは初めてで、お弁当に貼り付ければ手元に届くよという企画だけを持ち込まれた。 そこからプレミアムをどうしよう・・・、裏面の広告主を見つければ、県の負担は半分ですむのでということなどを、何度も繰り返し話し合ってきた。
■県土整備部
・タイトル
「川の再生」ムーブメントへ
〜モデル5箇所が完成!県民が「川の再生」を実感〜
・内容
平成20年度から川の再生に取り組んでいる。
川の再生は「清流の復活」「安らぎとにぎわいの空間創出」の基本方針を柱に、川の再生をすすめ、県民 誰もが愛着を持ち、ふるさとを実感できる『川の国 埼玉』の実現を目指している。
川の再生も今年で2年目。去年は26箇所を着手し、今年は63箇所に増えた。 4年間で100箇所、そのうちの5箇所をモデル箇所と制定し、2年間で完成させ、間もなく完成予定。
取組は、ホームページでモデル箇所の進み具合をリアルタイムで発信。川の遊びを通して、川の大切さ、素晴らしさ、楽しさを実感して頂こうと、昨年10月18日(日)は、「飯能河原で遊ぼう!」が行われ約4,800人が参加。また、11月8日(日)は、「浮きウキフェスタ21in権現 堂調節地」のイベントには1,200人が参加した。
イベント参加者の意見は「同様なイベントがあれば参加したい」が61%。どのように感じましたか?では 「川遊びは楽しい」が64%にも達した。
この【彩じまん】でも上田知事の“川ガキ”ぷりを取材しています♪
→「飯能河原で遊ぼう!」
→「浮きウキフェスタ21in権現堂調節地」
モデル箇所のうち、旧芝川については、テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」で川の再生の様子がシリーズで取り上げられ、全国に取組と、再生されていく様子が紹介された。
埼玉県民に広く川の再生への取組に参加してもらうことを目的に、新規事業候補箇所を公募するため県民 提案を実施。
提案募集は多くの新聞に取り上げられ、結果、203通・120箇所の応募が寄せられた。
・質疑応答
平林氏. 色々なレベルの方々の情熱や熱意を結びつけて、いかに参加者を増やすかや、川の守り人などを 結びつける、非常によくできたネットワーキングのプロジェクトだったと思います。
本田氏. 熱意がすごく伝わってきた。PR(広報)する時、川の良さをもう一歩進めて、川辺で遊ぶ親子 のコミュニケーションなどを発信されるとよいのでは・・・。
塩川副知事. 県民の皆さんに参加していただくという所で、うまくPRしていけると良い。
■農林部
・タイトル
地産地消の推進「近いがうまい埼玉産」
・内容
県政サポーターアンケートで「地産地消を知っている」という方が90%を超えました。ただ、具体的な事業である県産農産物サポート店などの認知度はは30%位でした。
意味やイメージは知っているけれども、具体的な話はわからない、ここに地産地消の広報をより一層、推進していかなくてはならない目標があると考える。
そこで『いつでも どこでも埼玉産』の県民運動としての展開や、サポート店の登録拡大など、県産農産 物を、いつでもどこでも手に入れられるという推進を、広報と一体化した取組にしている。
※『いつでも どこでも埼玉産』は消費者や生産者など大勢の方が参加している「地産地消推進協議会」の統一目標である。
広報の戦略は、「見て知っていただく」「手にしていただく」「味わっていただく」「よろしければ広めていただく」としている。
広報のポイントは「近いがうまい埼玉産」がコンセプト。
“近い”は顔が見えて安心、時間が短くて新鮮 、フードマイレージ環境に優しいという3つの利点がある。地産地消を進めれば、県産農産物が美味しい、また、地域が元気になり、生産者も消費者もお互いに良い関係になる。
農林祭りを開催していて、今回はテレビドラマと絡めた展開や、ミニコミ紙と「埼玉丼」を開発し、県庁の地下食堂でメニュー化もした。
量販店が行う地産地消イベントの広告チラシに、知事の写真や地産地消月間に係るメッセージを掲載し積極的にPR。11月末現在で199店舗で実施し、数十万部のチラシが発行された。
・質疑応答
本田氏. 食は誰もが関心の深いところ、色々なところに広報の方法がある。チラシの活用がとても良かった。ただ、「近いがうまい埼玉産」をわかりやすい、ビジュアル的なマークなどで、もっと様々なところで使い、活動の統一感があればともっと良かったのでは・・・。
塩川副知事. 昨日、埼玉の黒豚の焼肉を食べて、その前の日は埼玉の黒豚のしゃぶしゃぶを食べて、とて も美味しかった。それを、色々なところで私もクチコミしたいと思います。それと、「しゃくしな」これが、また旨いんです!
※すっかり埼玉産のPRをした副知事でした・・・♪
平林氏. 残念なことに大学でほとんど使われていない。大学生は全国から集まってきますし、いずれ全国に散っていくのでクチコミとしてのポイントは、とても大事ではないかと思う。学生を上手く取り 込んむのは重要。
■審査
【審査員】
平林紀子 埼玉大学教養学部教授
本田哲也 ブルーカレント・ジャパン(株)代表取締役
塩川 修 埼玉県副知事
審査は別室に移り、議論された。。。
※今回、審査会場は、特別に同ビル内にある埼玉新聞事業社さんの応接室をお借りしたというエピソードがありました。
埼玉新聞事業社の北出部長さんと名刺交換シーンも。。。
その間、埼玉大学学生が特別審査員兼ゲストプレゼンテーターとして参加し、学生発「埼玉県のブランディング戦略」を提案しました。
■結果発表
☆最優秀賞は、「企画財政部」の“ローソンプレミアム広報”
☆ 特別賞は、「県民生活部」の“埼玉県青少年夢のかけはし事業”
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熱く語る、県職員の方々の発表は、とても勉強になりました。
やっぱり埼玉は勢いがあるなと、確信しました。。。
上田知事と語る埼玉自慢ブログ【彩じまん】編集部・木原真弓
埼玉県庁内の広報アイデアと意欲を競う!「広報コンクール」審査結果は?
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