2008年11月26日(水)14:30から大宮ソニックシティホール棟4階国際会議室にて「埼玉県産業観光講演会2008」が行われました。
第一部は、フランスのバカンス企業、クラブネットでマーケティング部長、広報室長を務め、現在では淑徳大学国コミュニケーション学部・経営コミュニケーション学部の教授をされている「廻 洋子」さんの【観光を生かした地域振興の手法】と題した講演会でした。
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●観光を利用した地域振興に必要な視点、知見
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観光振興には需要サイドと供給サイドの両面の視点が必要である。そして観光をトータルで考える視点を持つこと。観光はサービス業であるという視点を理解、それは需要側と供給側の利害は必ずしも一致しないという事を伝えた。例えば行政などで作るパンフレットなどは市や県の境を超えた情報は、すぐ近くにあっても情報が載っていない。これは需要サイドを考えていないと指摘しました。そして、地域観光振興に求められる知見という事を上げ“観光カリスマ”のような引っ張るリーダー的存在=プロデューサーが必要である。
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●観光を利用した地域振興の進め方
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地域推進体制を着実に構築していく。内部環境と外部環境、観光地の優位点や劣位点などの現状を精査、把握する。また交通の利便性や、宿泊施設、収容能力、観光資源、イベントなどの評価をしておくことが大切。精査の結果に基づきコンセプトづくりをしゴールを設定しプロジェクトチームを立ち上げ、誰が何のために、何をいつまでに、いくらの予算でするのか?その他、ターゲットの設定などアクションプランを作成する。
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●マーケティング活動
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観光地マーケティング・成功の鍵は3つの「C」
Convergence (集中)
Continuity (継続)
Coordination (連携)
何の目的で、誰を対象にするのかを明確にして費用対効果の良いPRを活用。専任のPR担当を置き、一貫したPR活動を行い誘致圏のプレスや旅行業界との関係を構築。
最後に、観光をプロデュースする力のある人、コーディネートし牽引するリーダーが必要であるともう一度強く語りました。
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第二部は春日部桐たんす組合・伝統工芸士の飯島 勤さん、?蝪複圍卒愿譟Ω鯲?文化事業チームの樋口誠司さん、[社会科見学に行こう!]を主催している小島健一さん、埼玉県観光振興室長の荒井康博さんをパネラーとして迎えパネルディスカッションが行われました。
パネルディスカッションのコーディネーターは引き続き廻 洋子さんが務めました。
初めに、自己紹介を兼ね現在取り組んでいることを発表。
【飯島 勤さん】
地元小学校の見学会や埼玉県で行っている「ものつくりスタンプラリー」の協力をしている。また、小川町にある伝統工芸会館で年1回行われる実演にも参加している。
阪神淡路大震災で被災にあった方からの依頼で桐たんすの削り直しを頼まれたそうです。その際に聞いたお話を紹介してくれました。桐たんすは、非常に機密性に優れているため同時に引出しを引こうとしても開きません。その為に転倒する事なく命が守られたそうです。しかも、そのタンスはお嫁に来る時に両親が贈ってくださったもので「両親の思いに助けられた」。なので綺麗に修復したいという依頼があったことをお話しされました。
また、現在「らき☆すた」というアニメが大ブームで、桐材で絵馬型のストラップを作った新たなニーズで商品化した、まさに産業が観光になっている事例を話されました。
【小島健一さん】
「社会科見学に行こう!」はインターネット上で人を集め、個人では見学しづらい施設や史跡をみんなで見学しにいく団体。参加対象年齢は20歳以上で、いわば“大人の社会科見学”を主催している。
元々は2004年mixiのコミュニティとして開始。その後、産経新聞の一面で紹介されてから各テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など70以上の取材を受け、会員数はmixi7500名、webサイトで630名にまでなっている。今までに訪問した数は100か所くらい。その他、研究所や企業の研究者や技術者、広報担当者などプロの方を招いて不定期でトークイベントも行い約13回ほど実施。2冊のガイドブックと1冊の写真集を出版。来年には新たに「加速器」「重機」「工場」の3冊を出版予定。「ぼけかる倶楽部」の外部顧問として、今後は高齢者向けの社会科見学も企画中だと話されました。
【樋口誠司さん】
JTB関東が「地域に優しい靴で行きたい」をコンセプトに、旅をしながらエコロジーを考える機会を提供する新しい旅のブランド「GREENSHOES」を立ち上げた。
旅をしながらエコロジーを考える機会を提供し、旅行によって排出されるCo2をグリーン電力の購入によって相殺しましょうという考えの旅行を提案しています。
●+ECO [1E] ECOを意識する旅
ECOを意識し、楽しみながら環境に貢献する旅。
●+EECO[2E] ひろく深くECOを知る旅
環境についての講演を聴いたり、自然観察、環境学習、環境施設の視察など自然とふれあうエコツーリズム。
●+EEECO[3E] 生き物からECOを教わる旅
トキなどの希少生物の保護に関われるツアーや、生物保護基金に募金できるツアーなど、生き物との共生をはかることを目的としたECOに参加する旅。
●+EEEECO[4E] 本気でECOにかかわる旅
地球環境保全活動・企業の森づくり、エコイベントの実施など、実際に環境を良くする為に取り組むECO参加型の旅。
【荒井康博さん】
本日も埼玉県観光振興室長の正装であるという黄色いハッピをまとい参加。
「ハッピでハッピー!」と冗談を交え会場の雰囲気を和ませました。
埼玉の観光は都道府県では最階位ですが、埼玉は交通の利便性がある。旧型の観光資源は少ないが埼玉は新しい観光の切り口がたくさんある。花や産業観光が伸びているし大きいポテンシャルはもっている。その中でも「ものづくりスタンプラリー」は産業観光の大きな魅力。平成16年から実施していて当初の参加企業・施設は48か所だったが、今年は82か所に増えている。プレゼント応募も458通から3083通に増加した。実際は2〜3万人位が企業に行っているので非常に大きな力を持っている。埼玉を全国区にPRしていきたいと話されました。
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・廻コーディネーター
今後の埼玉県の産業観光はどの様にしていくかという点で伝統工芸を伝えるたり見せたりするのに難しい点は?
・飯島さん
伝統工芸を作る人たちがいなくなった何故か?それはPR不足もあるが、仕事の需要が減っている、だからこそ新しいニーズの今までにない顧客の取り込みが必要。
・廻コーディネーター
「社会科見学に行こう!」をwebで集めようとする考え方は若い人の考えである。見学場所はどのように見つけアクションするの? また、伝統工芸を社会科見学にするのはどうか?
・小島さん
見学場所はwebで見つけて、見学を募集している場合はそのまま申し込む。ない場合は自分のコネクションを通じてアクションを起こす。職人さんの技術を見るのは面白い、職人さんの立場や話しは印象に残るしとても面白いと思います。
・廻コーディネーター
資源や素材を活かして着地型の旅行を発信できると思いますか?
・樋口さん
着地型旅行は何回も来てもらわないと意味がない。例えば「桐で作る食卓テーブルを家族でつくろう!」という企画をして1回では仕上がらないので何回もきてもらう、ついでに近くで食事や入浴をしていくなどで経済が潤うのでは・・・。
・廻コーディネーター
日帰り観光をうまくPRしていくのには?
・荒井さん
行政はたくさんの情報をもっている、グリーンツーリズムだと農林部、産業遺跡となると教育局などに分かれている。そこは観光という横串を刺して情報の一元を図って旅行会社などとのマッチングが必要。
★廻コーディネーターは「マッチングさせる中核の株式会社を作るべき!!」と声を大にしていましたよ〜。
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これからの埼玉県の産業観光が楽しみです!!
上田知事と語る埼玉自慢ブログ【彩じまん】編集部・木原真弓